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これらの条件を確認するために、室内配合試験による基本配合を基に実際に本施工で使用するミキサー船を用いた試験を行って品質確認をして配合を決定した。さらに充填性、施工性を確認するためさや箱の実物大モデルを使い、求められる高充填性能をビデオ撮影により確認した。
今回施工の高流動コンクリートの配合は表-2のとおりである。使用したミキサー船は高流動コンクリートの製造に有効なスタビライザを装備し、高温打設時の対策としては製氷装置も備えている。品質管理はスランプフロー値で行い、管理基準値は65±5cm,50cm広がるのに要する時間を10秒以下とした。施工中のスランプフローは図-5に示すとおりで全てのバッチで管理値を満足していることがわかる。

Table-2. Mix proportion of high performance concrete.

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Fig-5. Slump flow of high performance concrete.

4−5. PCホロー桁の施工
PCホロー桁の単体の形状は長さ15.7m、高さ0.7m、幅0.7mである。通常、この桁は橋梁の桁材として、現地で1本ずつ架設し組み上げ使われている。この施工方法を採用した場合、架設時に他の作業と競合するほか、桁端部の地覆の施工に支保工が必要となり全体工程が長くなる。そこで別途製作ヤードにて1ブロックあたり33木の桁をPC鋼棒で横締めして一体化し、全幅約25m、長さ15.7m、重量600tのものを製作した。このブロックを3000t積み台船に積み込んで現地まで曳航し、起重機船により据え付けを行うが、このような大組したホロー桁の吊り込み、据え付けの実績がないため、異常変異を与えないように長手方向の吊り上げ地の変位が均等になるように「のれん式」のワイヤ掛けをし、吊り枠を用いる方法を採用した。
PC桁の支承の使い分けは変位の多い方を可動とするのがブロックに与える影響が少ないため、杭基礎構造で変位の少ない桟橋上部工側を固定、既設ケーソン上で今後も沈下等の変位があると推定される陸側アバット部を可動とした。現地での据え付けは最終調整をチルホールを用いて徴調整し、桟橋上部工と陸側アバット部の桁受け部に設けた支承上に各ブロック間2cmの目地を設けて据え付けた。
PCホロー桁の据付け状況を写真-5に示す。

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Photo-5. Setling PC hollow beams by a floating crane.

4−6.岸壁背後地盤の締固め
既設岸壁背後は「まさ土」で埋め位てられている。今回の震災では、これまで比較的液状化しにくいとされていた「まさ土」が液状化し、岸壁の被害を増大させた。このため、今回の災害復旧では計画水深−7.5m以上、クレーンを設置している岸壁を液状化対策を実施する施設として位置づけた。本岸壁では災害復旧で行う最初の液状化対策のため、試験工事の意味も含めて最も一般的なSCP工法による締固めを採用した。改良率は地震直後のボーリング結果を基に改良後推定N値の平均N値が20以上となるまでN値を高めることのできる改良率として15%を設定した。図−6は改良流と後のN値を比較したものでN値10以下だった地盤がSCP工法によりN値10〜40に締固められ、所定の条件を満足しているのを確認した。

 

 

 

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